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インターネット24時
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[事件簿60] 燎原の火のごとく…ネットの噂は足が早い

「また遅刻か、P!、最近たるんでるんじゃないのか!」

Pは、勤務している○○食品社のオフィスでいきなり部長にどなられた。虫の居所でも悪かったのだろうか、部長の声はいつにも増してとげとげしい。Pは狼狽して頭は下げたが、内心は穏やかではなかった。

「なんだよ、こんな大勢の前で叱りつけることはないだろ…。それに“また遅刻”って言ったって、前はいつだっていうんだよ。そもそも夕べだって、終電ギリギリまで働いてるんだからな…」

自席に戻っても、Pの憤懣は膨らむばかりだった。「この間だって、いわれのないミスをオレのせいにされたり…課長に相談してもロクに確認もしてくれない。この会社、おかしいんじゃないか」

その夜。なんとなく“むしゃくしゃ”が収まらないPは、パソコンである掲示板サイトを開いた。

「そうだ、よーし」

Pはキーボードを叩いた。「○○食品の製品、○○には、人知れず○○が混入されている。食べる時には気を付けろ!」 それだけの内容だった。Pがなにか真相を知っているわけではなかった。言ってみれば面白半分のいたずらだった。

だが、この書き込みは思わぬ反響を呼び始めるのである。



ほとんどスルーされるとしか思っていなかった書き込みに、コメントが付き始めた。「それはオレも知っている」「最近食べたら変な味がしたがそのせいだったのか!」「イヤ○○食品についてはこんな話もある」など、およそPが予期しなかった内容が集まり始めたのである。

折しも食品の安全性を脅かす事件がたびたび起こっているせいもあったが、○○食品社にも、実は少し後ろ暗いところがあったらしい。

掲示板には、“中の人”と思われる投稿者からのとりなしや釈明もあった。掲示板は、それでさらにまた燃え上がった。

ついにマスコミが食いついた。
役員が記者会見に出て「事実無根」を強調したが、信じるものはいなかった。

「○○食品社、内容物を偽装か?」「ネットで次々と明かされる新事実」「商品調達ルートに黒い噂も」

そしてどこをどう伝って来たのか、最初の書き込みをしたPに接触してくるマスコミまでが現れた。「あなたは正義の告発者ですね、表に出るべきではありませんか!?」

Pはうろたえた。そんな事実を知っていたわけじゃない、そんな大それたつもりじゃなかった、そんな、そんな…。

取り返しのつかない騒ぎに、Pは頭を抱えるばかりだった。


この事例は、"風説流布"の事例をもとに脚色、再構成したものです。


解説
インターネットは、“世界”と繋がっている


少し極端な内容になりましたが、ひとつの“心ない”書き込みが、ネット上でどのような影響を持ち得るか、というお話です。

本来は、根も葉もない噂は根も葉もないまま終わってしまうのですが、たまたま似た兆候や噂があったり、ちょっとしたタイミングによって、このように悪い方へ思わぬ広がりを見せてしまう場合があります。

誰がどう見ているかわからない、オープンなネット社会。書き込みやコメントをする時には、読んだ人がどう感じるだろうか?という想像力が必要かも知れません。




事件の教訓

ネット社会 軽い気持ちで 大やけど


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