世界最先端をいくイギリスのIT教育
2018/1/17 提供:D-SCHOOL
イギリスは、IT教育を義務教育過程にいち早く取り入れた国として有名です。1995年にはすでに教科「IT」が学校に導入され、その後、試行錯誤を繰り返し、2013年から新教科「コンピューティング」が導入されています。
今回は、プログラミング教育の最先端を行くイギリスの教科「コンピューティング」についてご紹介します。
教科「コンピューティング」導入の背景
1999年に導入された教科「ICT」では、コンピュータの操作やアプリケーションの使用が主に教授されていました。しかし、それから間もなく、この教科「ICT」が産業界のニーズに合致していないとの不満が企業側から聞かれるようになってきたのです。
この頃イギリスでは、テクノロジーやエンジニアリング分野で人材不足が続き、コンピュータサイエンスのできる人材が求められていました。この分野の深い知識の習得が企業側から強く望まれるようになってきていたのです。
さらに産業界は、コンピュータサイエンスの学習がイギリスの経済成長を助けるばかりでなく、生徒の他教科の学習や人格にも大きな影響を与えることを指摘しました。
その影響とは?
- アルゴリズムの学習は、文章を構成する能力を高める
- コンピューティングで生徒は考えることを学習するので、ソフトスキルが伸びる
- 創造力、算数及び国語の能力が向上する
このような指摘を受けて、英国教育省は、2013年9月から必修科目として初等・中等学校に教科「コンピューティング」を導入することを決定したのです。
コンピューティングの授業は、下記のような目的をもって構成されており、必修科目として5歳から少しづつ学んでいきます。
- コンピューテショナル・シンキングと周りの社会を理解し、変えて行くための創造性を学習者に与える
- 算数、数学、科学、デザインとテクノロジーと深い関わりがあり、自然と人工システムに対する洞察力を与える
- コンピュータサイエンスを中心として、生徒は、情報とコンピュテーションの原理、デジタルシステムが作動する仕組み、プログラミングを通してそれらの知識を使う方法を学習する
- 将来の職業としてデジタルワールドへ積極的に参加できる程度のデジタルリテラシーを獲得できる
イギリスでは、ネイティブの英語に加え、プログラミングをはじめとしたデジタル領域に強い人間がますます増えていくでしょう。日本のプログラミング教育は必修化が決まってはいるものの、まだ内容までは決まっていません。デジタル分野は進化が早いため、枠組みは決めつつ柔軟に変化できるような学習形態が適している分野ではないでしょうか。人口が少なくなる中、優秀な人材はとても重要です。日本人も楽しみながらプログラミングを学んで、デジタル領域に強くなっていきましょう!