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現役小学校教員に聞いた!英語教育の今とこれから

2018/9/26  提供:D-SCHOOL

こんにちは。フリーのママ英語講師のヨシノです。

今回は2020年から始まる日本の英語教育の変化について、実際の教育現場で働いている先生たちに直接取材をし、その現状や本音をいろいろ聞いてみました!

1.気になりませんか?現役の小学校の先生の声!

私は現在、英語講師として活動していますが、大学で学校教育について学び、幼稚園から高校までの教員免許を取得し、某私立高校の英語講師として働いていました。なので、まず塾や教室の先生と学校の先生の違いに触れておこうと思います。
まず、学校の先生と塾や教室の先生とで異なるのは(教員免許が必要かどうかという事ですが、ここではそれは置いといて)どのようなことでしょうか?
私が考える学校教育での先生と塾や教室の先生の違い、それは「成績をつけること」だと思っています。塾や教室の場合、基本的には生徒個人の能力や理解度に合わせてクラス分けなどを行い、レッスンの内容を柔軟に変えることで、生徒やその保護者のペースでレベルアップを目指します。そのため、講師が生徒のレベルや習熟度を測ることはあってもそれを誰かと比べたり評価することは、受験などの模擬テストや資格試験などを除けばほぼありません。

一方、学校の授業は誰もが平等に英語に触れられることに加え、ネイティブのALTと定期的にコミュニケーションがとれるチャンスが全員にあります。基本的に授業はクラス単位で行われ、生徒全員が同じ目標に向かって同じ授業を受けます。そして定期的にテストを実施して習熟度を測り、生徒一人ひとりに成績をつけるのが学校の先生、という感じでしょうか。
そして2年後の2020年度より、いよいよ小学校でも英語が教科として成績がつくようになりますね!
このような動きがある中で、実際の先生たちは英語教育についてどのように感じ、考えているのでしょうか。

2.こんなことを聞いちゃいました

今回の取材では、4人の先生方に共通して以下の質問に答えていただきました。

  1. 自身の英語のレベルについて
  2. 今はどんな授業をしていますか?子供のレベル、目標、題材の例、
    ネイティブ講師(ALT)のことなど
  3. これからの英語教育について、学校の現場の雰囲気は?
    どんなことを準備したい?不安なことは?
  4. 子供の保護者に伝えたいこと、アドバイスなどあれば

それでは、実際の先生たちの本音をご紹介します!

【公立小学校のK先生】

  1. 英語の読み書きは、学生以来やっていないですね。スピーキングについては、ALTと打ち合わせするときに何とかコミュニケーションが取れるくらいです。
  2. 過去に担当した4年生の場合は、習い事で英語をしている子供はあいさつができる程度でしたが、ほとんどの子供は外国人と関わったことがない様でした。
    授業の題材の例としては、greeting(あいさつ)のための「天気を聞く、答えることができるようになる」授業など、またローマ字の理解が低かったので、A~Zのアルファベットの授業を行いました。具体的な内容は、ABC songとフォニックス、カルタゲームなどです。今は主に、英語でのコミュニケーションを通して英語に慣れ親しむことが目標になっています。
  3. 大事だと分かってはいますが、担任が教えるのは無理があるのでは?という、実施には消極的な雰囲気が現場の先生の中にはあります。しかし、今赴任している地域には毎回の授業のときにALTの先生がいられる体制があるので、他の地域よりは割と先生方にも歓迎されている雰囲気もあります。
  4. 小学校の英語の授業はコミュニケーション重視なので、小さいうちから文字(アルファベット)に触れておくのは大切だと思います。

【公立小学校のT先生】

  1. 全体的に低いと思います。特に書くのは苦手です。
  2. 学校で選んだ教科書に合わせて、コミュニケーション能力を高めるような授業をしています。ボディランゲージも含めて、ゲームやインタビューなど。具体的な題材だと、食べ物や職業などの簡単な単語が中心です。逆に、読んだり書いたりすることは、現在はそんなに重要にしていませんが、自分の学校では数字やアルファベットは3~4年生から始めています。また、週1時間、ALTとの授業を通し、ネイティブな発音を聞いて学んでいます。
  3. 自分自身英語が得意ではないのに授業をすることは不安です。特にオールイングリッシュの授業をするとなるとなかなか厳しいです。教材の準備も他の教材研究に追われてなかなかできません。専門の先生がいると心強いのですが。
  4. 英語の表現の仕方と、日本語では違いもありますが、日本語で英語の表現を説明することもあるので、まずは日本語の表現の幅を広げておいて欲しいですね。

【公立小学校のY先生】

  1. 大学時代まで勉強していましたが、それきりです。ALTとの日常会話でのリスニングはまあまあ聞き取れます。言いたいことがなかなか英語ですぐ出てこないですが、授業で使う表現などは出来ています。
  2. 子供のレベルは学校によって印象が違いますね。感覚としては、1クラスに3~4人アルファベットが読める生徒がいる感じでしょうか。今の授業は英語に慣れ親しむが目標で、文部科学省準拠の指定教科書を使って進めており、身近な日常会話や単語が中心です。ALTの授業は年に7回(今年度より12回)あり、英語が出来る教員の場合は教員が主導で行っていますが、苦手な教員には学年で授業の内容を揃えてALTにお任せすることもあります。
  3. まだ現実的に「こうします!」という方針や体制がまだどうなるかわかっていないのでなんとも言えないですが、とにかく教員としての仕事の量が多いので、まだ英語の授業研究のための時間がないというのが現状です。ただ、学校ごとに英語の研修担当がいて、英語教育について共有する場があるので、そこで降りてきたものをやるという感じです。
  4. できるだけ英語の音とリズムに慣れ親しめるよう、英語の歌をたくさん聞いていてほしいです。

【公立小学校のM先生】

  1. 英語は得意だと思います。アメリカの学校で2年間学んだ経験もあります。
  2. 英語を習っている子はクラスに4~5人いる感じです。その子たちは大体授業に出てくる英語の8割くらいは理解できている印象です。今の小学校の英語教育の目標は、コミュニケーション能力の素地を養うことなので、小学校の英語は割と親しみある単語が多いです。コミュニケーション活動が中心なのですが、英語でしゃべることに自信がなく消極的な子が多いなぁと思います。ALTが入る授業は年間12回以程度で、授業は基本的に自分主導ですが、お任せに慣れているALTも多いので、自分がサブになって行うともあります。
  3. ただでさえ他の仕事に追われ、時間がないのにどうすればいいんだ!と混乱している先生方は多いです。教員の英語のレベルに関しては、どの学校でも英語は流ちょうに話せなくても、コミュニケーションやある程度理解できる先生も多くないけどいると思います。
    現時点では具体的な策が国や自治体から降りてこないので、評価のシステムなど、逆に知りたいです。あとは、もっと多様な英語の指導法を知っておきたいですね。
  4. 英語の授業(学習)では、コミュニケーション活動が上達のカギです!積極的に誰にでも声をかけたり、積極的に挑戦したり、失敗を恐れない姿勢というのを家庭ではぜひ身につけておいてほしいですね。

以上、現役の先生方の声でした。

まとめ
いかがでしたか?実際に話を聞いてみると、小学校の英語というのは特に他の教科とは違って、その地域の環境や行政の方針によって力の入れ方や現場の取り組み方に差がある印象を受けました。
また、私自身も以前高校の英語教師として働いたのでわかるのですが、学校の先生の日々の仕事の多さは相当なものです。特に小学校の先生方は、担任をしているクラスの英語を含めた全教科の授業を行っていますから、2020年からの小学校での英語の教科化についても、やるべきことはやるけれど積極的に英語教育の授業研究を行う時間が無いとおっしゃるのは、聞くと少しショックですが納得もできますね。

また、「読み・書き」については学習機会が増えますが、あくまでも慣れ親しむことが目的になり、評価という点では「話す・聞く」ことがどれだけ出来るかをテストで図り、その結果と通常の授業での生徒の態度などを合わせた総合的な評価を成績として出されることになりそうです。
ただし、日本人の英語力強化が求められる声は年々強まっていますので、今後小学校のその先、中学、高校ではより実用的な英語のスキルが身につくような授業が始まることが予想されます。

学校という、クラスという環境において先生が授業を計画する際に、クラスの生徒全体の学習レベルや意欲が高ければ、自ずとそのクラスの授業内容もレベルの高いものになっていきますし、その反対も然りです。
ですから、今はまだ勉強させなくてもいいと思われる年齢の子どもでも、日頃からいろんなものに興味を持たせたり、人とコミュニケーションをとることの楽しさを伝えたり、英語の音やリズムに慣れさせておくために英語の音楽をたくさん聞かせてあげたりなど、今回の先生方のアドバイスを参考に今からでも親として子どものために出来ることがありそうですね!

最後に、今回このような機会を頂いた先生方はみな、学校内ではいわゆる中堅の立場で、赴任先の学校でもそれぞれいろんな役職を任されており、授業にも生徒にも日々情熱を注いで頑張っている先生方です。
新学期が始まったばかりでお忙しい時期に、本音でお話をして下さった先生方に心より深く御礼申し上げます。

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