はじめに知りたい!これからの教育と学習
2020年から小学校でプログラミング教育が必修化
2017/11/29
文部科学省は、2020年から実施する新しい学習指導要領において、プログラミング教育を必修化することを決定しています。実際に「プログラミング」という授業科目があるわけではなく、算数や理科、図工や音楽などの授業の中でプログラミングを活用した学習を行うというものです。
例えば、小学5年生では、多角形と角度の関係を学びます。このとき、「スクラッチ」という子ども向けプログラミングソフトを使って、多角形を描くプログラムを作る体験をします。
従来の「プログラミング言語」を使うソフトは、その見た目から難しい印象をもたれがちです。その点、スクラッチはブロック形状の図に描かれた命令を組み合わせることでプログラミングを行うため、小学生でも簡単に利用できます。
文部科学省は、プログラミング教育の目的を「プログラミングをとおして、教科の枠を超えてすべての学習の基盤となる資質や能力を身につけること」としています。
子どもたちが身につけられる大切な能力に、「論理的思考」があります。論理的思考とは、一貫していて筋が通っている考え方のことです。コンピューターにプログラムを実行させるには、順番や条件を論理的に記述する必要があるため、プログラミング教育を通じて「論理的思考」が養われると考えられています。また、子どもたちは、創意工夫しながら、計算のためのツールやゲームなどのプログラムを作り出します。これにより、「創造力」も身につけることができるのです。
2024年からの大学入試はパソコンで行う!?
2017/11/29
「大学入試センター試験」は2019年度の実施を最後に廃止となり、2020年度からは新しく「大学入学共通テスト」がはじまります。
大学入学共通テストでは、2020年度から最初の4年間、マークシートや一部記述式の試験を採用しますが、2024年度からはパソコンの画面に向かって、マウスを使って回答を選択したり、キーボードから入力したりする「CBT」(Computer Based Test)方式の導入が検討されています。
CBT方式では、マークシート方式で起きていた、マークミスやマーク位置のずれなどによる誤答はありません。また、採点にかかる時間が短くなるメリットもあります。そして、出題や回答も文章だけでなく、音声や動画などさまざまな方法があり、選択肢が広がります。例えば、動画を使って、現実の場面を再現しながら出題することも可能です。
一方で、受験生にとっては、パソコンの操作に慣れていなければ試験で操作に迷ったり、答えがわかっているのにタイピングが追いつかなかったりといった、不利な要素ともなりえます。試験対策の1つとして、パソコンに慣れておくこともまた、試験対策の重要なポイントとなるでしょう。
海外で先行する子どものプログラミング教育
2017/12/6
日本の初等教育でプログラミング教育が必修化となるのは2020年からですが、海外ではすでに先行している国があります。ここでは、イギリス、フィンランド、アメリカ、韓国の状況について解説します。
イギリスは、2013年9月から必修科目としていて、5歳から14歳を対象にした教育を行っています。年齢に応じて3段階のステージを用意して、カリキュラムを提供する内容です。公共放送局のBBCがマイコンチップを搭載した小型ボードの「マイクロビット」を11歳〜12歳の子どもたち全員に無償配布するなど、企業の協力も積極的です。
教育先進国といわれるフィンランドでも、2016年の教育カリキュラム改正にともない、プログラミング教育が小学校の必修科目となりました。低学年のうちはプログラミングの概念を学び、学年が進むごとに本格的なプログラミングへと進みます。
アメリカでは、NPO団体「Code.org」が、すべての学校にプログラミング教育を導入する活動をしており、ビル・ゲイツやマーク・ザッカーバークなどが支持しています。オバマ大統領の時代から、STEM(Science, Technology, Engineering and Mathematics)教育として、IT教育に積極的に取り組む動きがあります。
韓国では、政府が「ソフトウェア中心社会を作る」という目標を掲げ、2014年から教育モデル校でのプログラミング教育をスタート。2015年からは中学校で、2017年からは小学校で、本格的に正規教育過程としています。
各国が、プログラミングについて学ぶことが「文章を構成する能力を高める」「考える力が伸びる」「創造力、算数、国語能力の向上」などの効果が得られると、期待しています。こうしたプログラミング教育が先行する国に追随し、他の国々でも子どもたちのプログラミング教育に期待し、さらに注力していくことが見込まれます。
こうした世界の流れの中で、日本もプログラミング教育をスタートします。実際には2020年からですが、それを見越して、さまざまな企業が学習教材を製作したり、大手学習塾がプログラミング講座を始めたりしています。子どもたちにいち早くプログラミング学習を体験させたいと思ったら、パソコンやタブレットなどの教材を利用して、すぐにでも始められる環境がもう整っているのです。
IT化が進むと子どもたちの将来の職業も変わる?
2017/12/13
現在、すでにあらゆる産業や製品がデジタル化されていますが、これからさらに加速度的に進むと考えられます。
身近なところで、カメラはフィルム式からデジタル式が主流となりました。音楽もCDだけでなく、デジタルデータとしてインターネットでの販売がされています。通信販売やチケットの購入など、さまざまなサービスが、パソコンやスマートフォンの画面上から利用できます。そして今後、自動車の自動運転など、さらなる革新が続いていくでしょう。
その一方で、今後の産業界では、IT技術者のさらなる不足が見込まれています。IT技術者の不足で、日本のソフトウェア開発や製造業の発展が遅れてしまう可能性もあるのです。これは、小学校でプログラミング教育を必修化するきっかけの1つともなっています。
現在、ビジネスのあらゆる分野でプログラミングの技術が下支えとなっているといえます。これはプログラマーという職種に限った話ではなく、プログラムに関する考え方が、さまざまな仕事における基礎知識の一つとなってきていることを意味しています。分野を問わず、仕事で活躍するための要素の一つであるとすれば、プログラミング教育の必修化もまた大きな意味を持つのではないでしょうか。
今後、産業構造の変化として、単純作業や創造性を必要としない仕事はロボットやAIによって置き換えられ、無くなる職業も増えていく、といわれています。子どもたちがこれからの時代を生き抜いていくために、早い段階からIT化の波を乗り越えるための教育が重要となります。