インターネット詐欺リポート(2025年4月度)証券系フィッシングサイトが前月比6倍に急増、お米の偽販売サイトにも注意
2025年6月13日
1.今月のトピック
証券系フィッシングサイトが急増、前月比6倍増
証券系のフィッシングサイトが前月から6倍以上増加しています。金融庁※1の調査によると9社の証券会社で被害が報告されており、2025年4月までの合計不正取引数が3,505件、売却金額が約1,612億円、買付金額が約1,437億円と非常に多くの被害が確認されています。これらのフィッシングサイトはメールやSMSなどでばらまかれており、IDとパスワードを詐取しようとしてきます。被害防止のために、証券会社各社が提供している2段階認証の設定やFIDO認証(スマホ認証)などを利用しセキュリティの強化を行うことが重要です。
※1 出典:金融庁インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引による被害が急増しています
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楽天証券のフィッシングサイト
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SBI証券のフィッシングサイト
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三菱UFJ・モルガンスタンレー証券のフィッシングサイト
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大和証券のフィッシングサイト
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野村證券のフィッシングサイト
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松井証券のフィッシングサイト
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GMOクリック証券のフィッシングサイト
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マネックス証券のフィッシングサイト
お米の偽販売サイトに注意
ここ最近の米の在庫量の低下や値上がりに便乗したお米の偽販売サイトが登場しています。一般で売られている価格より20~30%ほど安い金額で購入させようとする手口のサイトが確認されており、国民生活センターからも注意喚起が行われています。※2これらのサイトには検索や広告などからアクセスしてしまうケースが多く、購入してしまうと認証情報やクレジットカード情報が盗まれる、商品が送られてこないといった被害にあう可能性があります。お得に購入できそうに見えても判断を急がず、サイトの情報を確認する、普段から利用しているECサイトを利用することを徹底すること等が重要です。
※2 出典:国民生活センターお米の詐欺サイトが出没中!価格が不自然に安いなど怪しいサイトにはご注意!
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お米の偽販売サイト
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お米の偽販売サイト
フィッシングサイトブランドランキング
4月度はAmazonが前月に続き1位となりました。構成比は前月より減少していますが、実数では増加しています。また楽天証券が4位に入っており、4倍近く増加しています。ランキングには入っていませんが、野村證券、SBI証券、マネックス証券などのフィッシングサイトが確認されています。

フィッシングサイトカテゴリ別構成比
4月度は証券系のフィッシングサイトが10ポイント近く増加、実数でも6倍以上増加しています。
5月度も証券系フィッシングサイトが増加しており、注意が必要です。


フィッシング詐欺被害防止のポイント
- メールやSMSで案内されたURLが正規のURLか確認する
- メールやSMSメッセージ上のリンクはクリックせず、事前に登録しておいたブックマークやウェブ検索で正規サイトへアクセスする。または、怪しいサイトを診断する無料サービスを利用し事前にURLをチェックする。
- 個人情報やクレジットカード番号の入力を促すメール・SMSに注意する
- クレジットカード会社が個人情報やクレジットカード情報をメール・SMSで問い合わせることはありません。情報入力を求めるメールには対応せず正規サイトを確認してください。
- ログインID・パスワードの使い回しを控える
- 複数のサービスサイトで同じログインID・パスワードを使い回していると、フィッシング詐欺によってログインID・パスワードが詐取された場合、他のサービスサイトの不正利用被害に遭う可能性が高まります。被害を最小限に抑えるためにもログインID・パスワードの使い回しはせず、サービスごとに登録内容を変更し管理を行うようにしましょう。
- セキュリティソフトやネット詐欺専用ソフトを導入する
- 犯罪者の手口は日々巧妙化しており、今まで意識してきた対策が通用しなくなる可能性があります。日々進化するネット犯罪に対抗するにはセキュリティソフトを導入することも必要です。不審なサイトにアクセスした際に注意喚起を行ってくれます。
森 達哉教授のコメント
証券系のフィッシングサイトが急激に増加しています。リポートにありますように、これらの詐欺サイトは本物と見分けがつかないほど精巧に作られており、見た目の確認だけでは防げないケースがほとんどです。重要なのは「メールやSMSのリンクは絶対にクリックしない」という基本原則の徹底と、必ず公式アプリや公式サイトからアクセスする習慣づけです。証券会社が提供するFIDO認証の導入も有効です。また、米不足のような社会不安に便乗する詐欺は、人々の焦りや不安心理を巧妙に突いており、「通常より2~3割安い」といった、あってもおかしくないような微妙な条件の提示が典型的な特徴です。効果的な対策は、詐欺の可能性を「疑う習慣」と「確認する手間を惜しまない」という意識改革であり、心を動かされる情報を見たときには深呼吸をした上で、時間をかけて確認作業を行うことが、被害の防止につながることを覚えていただきたいと思います。
この記事を監修した人
森 達哉
早稲田大学 理工学術院 教授
「令和7年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門)」受賞
NICTサイバーセキュリティ研究所 招へい専門員
本記事は「ネット詐欺総研」から引用されております
