オンラインにおける恋愛の一般的なプロセスは、男女がソーシャルメディアや出会い系サイトを通し、インターネット上で出会うことから始まります。しかし、そうした出会い系サイトの利用者のなかには、相手に偽の愛情を示して巧みに誘惑するサイバー詐欺師がひそんでいます。多くの「出会い系サイト詐欺」では、まず詐欺師によって魅力的な写真を添えた偽のプロフィールが作成されます。その後、メールやチャット、電話などを使って1対1で接触を行い、良好な関係を築いてあなたの信頼を得ようとします。信頼が得られたと感じた詐欺師は、ほどなく親が病気で入院費が足りないとか、親友の保証人になってお金が必要になったとか、同情を引く話であなたの心につけ込んできます。

アメリカの例では、兵士を装って女性と親交を深めた後、自分が会いに行けるよう兵役休暇の申請を相手に求め書類に個人情報を記入させたり、医薬品代を要求したりする軍事系の詐欺があります。また、男性が料金を払って外国人の花嫁を見つけるサイトでは「花嫁」になりすまし、会いに行く航空券やビザの代金など金銭的な援助を求めて被害者からお金を搾り取る悪質な詐欺などが報告されています。
詐欺師がさまざまな手法で恋愛詐欺を仕掛けてくるのは、日本も決して例外ではありません。オンラインでの出会いや交流では、まず相手について冷静かつ客観的に判断して行動することが非常に重要です。

恋人との出会いを探している人たちを狙い、情報を盗み出すために作られた危険なWebサイトに誘導する犯罪もあります。犯罪者はターゲットとなるユーザーに、信頼性があるように見せかけたメッセージを送信し、写真やビデオなどをサイト上で見るように促します。ユーザーがそのサイトにログインしようとするとき、ユーザー名とパスワードが記録され、トロイの木馬をインストールするというものです。
もうひとつの例として、「KamaSutra PowerPoint」があります。これはスパムメールで届き、性的な興味をそそる内容のPowerPointデータを受信者に提供するものです。スライド自体は安全ですが、スライドをダウンロードした後、密かにマルウェアがインストールされてしまいます。
特にバレンタインデーには「最高のバレンタインデーギフト」などのタイトルをつけ、危険なサイトやマルウェアを仕込んだリンクを貼った詐欺メールが横行します。

バレンタインデーに向けては通常以上に恋愛詐欺が増えることが予想されます。被害に遭わないため、ぜひ以下の点に注意してください。

●恋愛詐欺への5つの注意点
（1）出会い系サイトに会員登録する際は有名なサイトを選び、登録後しばらくは匿名でいる
（2）プロフィールは慎重に作成し、氏名や住所、電話番号などの個人情報は絶対に投稿しない
（3）相手と直接会う際は公共の場所で会うなど細心の注意を払い、自宅は決して教えない
（4）相手が金銭に関する話をしてきた場合は、すぐにサイト管理者に報告する
（5）見知らぬ相手からのメールや電子カードのリンクは絶対にクリックしない