考えてみよう! カップル間のデジタルプライバシー
“別れ”によって「リスク」に変わる「共有情報」
スマートフォンなどのデジタルデバイスやFacebookなどのSNSの普及により、メールや写真といった情報が手軽に共有できるようになりました。しかし、伝えたくない相手にまで情報が届いてしまうなど、プライバシーや個人情報の管理はより難しくなってきています。特に、カップルが別れた後のプライベート情報にはさまざまなリスクのあることは調査結果(※)にも表れており、一度しっかり考えてみることが必要になってきているようです。
※ マカフィー「2013年版 恋人、人間関係、テクノロジーに関する調査」
(実施:2013年2月28日にオンラインで調査、対象:20〜39歳の日本人男女、有効回答数:518件)
調査から見えてきた、カップル間のデジタルプライバシー現況
デジタルプライバシーの調査によると、回答した女性の半数近い46.9%がパートナーや友人とプライベートのメールや写真を共有していました(男性は27.8%)。また、オンラインショッピングサイトのIDやパスワード、銀行口座番号をシェアしている割合は、未婚者に比べ既婚者が5倍高いという結果が出ました。
このように、人間関係が近くなるほど互いの個人情報を共有する割合は高まっています。ただその一方で、回答者のうち50%が「交際相手や配偶者がプライベートな写真やメッセージをSNSなどに公開する可能性がある」と考えており、その割合は男性が6割、女性が4割で、男性のほうがリスクを感じているようです。
こうしたリスクが現実問題となるのが“別れた後”です。回答者の1割は「個人情報を含むメールや写真を送ったことを別れた後に後悔している」と答え、未婚女性では2割に達します。さらに、「デジタルデバイスから写真をすべて消去した(23.3%)」「SNSのつながりから消去またはアカウント自体を削除した(18.9%)」という結果も出ています。
実際に共有データを悪用したり、されたりした経験のある回答者は全体平均で約5%おり、未婚女性では12%と高い数字を示しました。
デジタルプライバシーの管理を真剣に考えてみよう
調査では、全体の3割が「交際相手や配偶者の通話記録やメール、写真をチェックしたことがある」と回答。同じく「相手のSNSをチェックしてしまった」も3割あり、相手を想う気持ちがストーカー行為につながるリスクも浮き彫りになりました。
SNSは公開する情報を自分でコントロールできますが、それが信頼している相手に「隠し事」と捉えられる可能性もあり、管理や線引きが難しい問題です。
しかし、カップル間で秘密を持つのは好ましくないかもしれませんが、プライバシーに関しては適切な距離感も大切です。特にスマートフォンなどに保存された個人情報や、オンラインサービスのID、パスワードなどは、万一漏えいした場合、家族や友人にまで影響が及ぶ危険性があります。たとえ信頼できる相手でも、こうした情報の管理は慎重にすべきといえるでしょう。
親しい間柄でも、写真を撮影したときに「SNSに載せてもいい?」と一言聞くだけで、互いのプライバシーに対する考えを知り、ひいては信頼を深めることにもなるでしょう。「楽しい」や「嬉しい」が共有しやすいデジタル世界だからこそ、適切なプライバシーの管理が必要といえるのではないでしょうか。
CMSB事業本部 コンシューママーケティング部長 青木大知
日本のカップルは、世界中で最も先端的なデジタル機器を使いこなすユーザーだと断言します。今や、カップル間の距離を縮めるための手段として、スマートフォンを介した様々なコミュニケーションやSNSの利用は欠かせないものになっています。さらに良好な関係を築くもしくは関係に亀裂を生ませないためにも、ユーザー間において道徳観、お互いを尊重しあう気遣いも合わせ持つべきだと思われます。