いったん買ったパソコンは、なるべく長く使いたいもの。けれども、Windowsには「サポート期間」が設定されていることに注意が必要です。この期間を超えて使用すると、将来的には新しいソフトウェアや周辺機器が使えなくなる場合があります。さらに、パソコンがウイルスに感染しやすくなるなど危険なデメリットも発生します。
パソコンに入っている基本ソフト(OS)の「Windows」は、実は買ったときのままではありません。マイクロソフト社は、Windowsの新しい機能やセキュリティの問題を解決するための修復プログラムを「更新プログラム」として提供しています。ユーザーは、「Windows Update」を実行することで、Windowsを常に新しい状態に更新できます。このため、安心してWindowsを使うことができるのです。しかし、マイクロソフト社による更新プログラムの提供期間には限りがあります。このことを「サポート期間」といいます。
サポート期間には大きくわけて2種類あります。1つは主に一般ユーザー向けの「メインストリームサポート」期間で、通常は最低で5年間、または次期OS製品の発売日から2年間と設定されています。企業ユーザー向けには、さらに5年間の「延長サポート」期間が提供されます。
Windows XPは2009年4月にメインストリームサポートが終了しましたが、延長を求めるユーザーが多かったため、一般ユーザー向けの「Windows XP Home Edition」も延長サポートを受けられました。
そして、これに続くWindows VistaとWindows 7も、一般ユーザー向けに延長サポートが提供されることが2012年2月に決まりました。その延長サポートもWindows Vistaは、2017年4月で終了しています。Windows 7についても、2020年1月をもってサポート終了となります。
今後サポート期間が終了したときには、どのようなデメリットが発生するのでしょうか?今のうちに確認して、備えておきましょう。
Windowsのバージョン | 発売日 | メインストリーム サポート終了日 |
延長サポート終了日 |
---|---|---|---|
Windows 98 / 98 SE | 1998年7月25日 | 2002年6月30日 | 2006年7月11日 |
Windows Me | 2000年9月23日 | 2003年12月31日 | 2006年7月11日 |
Windows XP | 2001年11月16日 | 2009年4月14日 | 2014年4月8日 |
Windows Vista | 2007年1月30日 | 2012年4月10日 | 2017年4月11日 |
Windows 7 | 2009年10月22日 | 2015年1月13日 | 2020年1月14日 |
Windows 8.1 | 2013年11月13日 | 2018年1月9日 | 2023年1月10日 |
パソコンで、さまざまな機能を実現してくれるWindowsですが、悪質なユーザーによって攻撃の対象にされることがあります。そのまま放置すると、外部からパソコンへの不正な侵入やデータの流出などの問題が起こるかもしれません。悪質なユーザーは、Windowsのセキュリティ上の弱点を調べて攻撃をしかけることもあります。そこで、マイクロソフト社はインターネットを介して、攻撃されている部分を補強するための「更新プログラム」を配布しています。
Windows VistaやWindows 7は、更新プログラムを自動でダウンロードして、インストールするように初期設定されています。そのため、実はユーザーが特に意識しなくても、セキュリティの問題は自動的に解決されているのです。
ところが、サポート期間が終了して更新プログラムが配布されなくなると、新たな問題が起きても解決されません。そのままパソコンを使い続けるのは、危険な状態となるのです。
セキュリティソフトや画像編集ソフトなど、市販のソフトウェアは、動作環境として対応OSが指定されています。ソフトウェアメーカーが新しいソフトウェアを開発するときに、古いOSをずっとフォローし続けるのは難しいためです。
そこで、Windowsのサポート期間を目安として、対応を終えるソフトウェアも多くあります。そのため、サポート期間の終了後に新発売のソフトウェアを買ってきても、インストールできないといったことがありえます。
特に注意が必要なのは、セキュリティソフトです。パソコンをより安全に使うには、Windowsの更新プログラム適用と合わせてセキュリティソフトが欠かせません。なおかつ、新しいウイルスなどインターネットの脅威に日々対抗する必要があるので、古いセキュリティソフトを入れたままというわけにもいきません。もし最新版のセキュリティソフトを導入できなければ、パソコンの危険度がさらに増してしまう恐れが高いのです。
ハードディスクなどの記憶装置やプリンターなど、多くの周辺機器は、パソコンにUSBケーブルで接続して使うことができます。けれども、こうした周辺機器も、サポート期間が終了したWindowsへの対応は、徐々に終えていきます。そのため、新発売の周辺機器を使ってみたい!と思っても、利用できないことがやがて起こります。
パソコンに接続した周辺機器は、「ドライバソフト」というプログラムでコントロールします。ドライバソフトはWindowsのバージョンごとに用意されていて、Windowsの更新プログラムとともに配布されたり、周辺機器に付属のCD-ROMに収録されたりしています。ドライバソフトも、他のソフトウェアと同様に古いOSをずっとフォローし続けることは難しいため、Windowsのサポート期間が終了すると、徐々に提供されなくなるのです。
インターネットの利用が、パソコンの主な利用目的という方も多いでしょう。最後に、OSだけではなく、ブラウザーソフトも古いバージョンを使い続けるとデメリットがあることもご紹介します。
インターネットの閲覧に欠かせない、Windows パソコンに入っているブラウザーソフト「Internet Explorer」にもバージョンがあります。アップデートを実行して、常に最新版にしておかなければなりません。
インターネットには、表示するだけでウイルスに感染する悪質なWebページもあります。中には、古いInternet Explorerをターゲットとして、弱点を攻撃するプログラムを実行するWebページもあります。そのため、古いInternet Explorerを使い続けるのは危険なのです。
古いブラウザーソフトを使い続けていると、気付かないうちにウイルスに感染する恐れがあります。
古いInternet Explorerを使い続けると、インターネットを利用する楽しみも減ることになります。Webページの作成では、HTMLという言語が使われますが、古いブラウザーソフトは最新の言語に対応していないため、一部が表示されなかったり、表示が崩れたりすることがあるからです。
パソコンを購入するときには、どの製品にしようかとじっくり悩むものです。そして、長年使ううちに、愛着もわいてきます。けれども、一方では安心して使うための配慮も必要です。不測の事態が起きて、大切な仕事の情報や個人の情報が流出しては大きな損害になります。
まず、ブラウザーソフトをはじめとした個別のソフトウェアは、常にアップデートして最新版を使うようにしましょう。そして、Windowsのサポート期間を確認し、期限が迫っている場合には、最新のWindowsへのアップデート方法も確認しておくと安心です。