「格安スマホ」や「MVNO」はどうして安いの?(1/2)
スマートフォンの通信費をもっと安くできたら……とお考えの方、「格安スマホ」や「MVNO」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。一番の特長は、大手通信事業者と比べて通信費を抑えることができる点です。もちろん、その安さには理由があります。今回は、「MVNO」がなぜ安いのか、どのような使い方をする人にとってお得なのか、ご紹介します。
公開日2015年2月10日
掲載内容は公開当時のものであり、最新情報と異なる場合があります。
MVNOって何のこと?
現在、携帯電話やスマートフォンを使用する多くの人が契約しているのは、NTTドコモ、au、ソフトバンクなどの大手通信事業者です。それに対して、いま注目されているのが、格安で通信サービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)です。
大手通信事業者と契約してスマートフォンを使うと月額おおむね6000~8000円程度かかるのに対し、MVNOのサービスは、月額2000円程度から利用することができます。大手通信事業者のプランだと、「毎月そんなに使ってないのに…」という方にオススメです。
これまで、MVNOのサービスを利用したくても、手続きの方法がわからなかったり、使用できるスマートフォンを自分で用意する必要があったりと、ハードルが高いと思われがちでした。しかし最近では、大手家電量販店や、大手スーパーの店頭でも契約できるようになり、身近なサービスとなっています。
安くなるのは理由があります
MVNOの特徴は、自前の通信網をもたないことです。NTTドコモ、au、またはソフトバンクの回線を借りてサービスを提供しており、まとめて借りた、契約者に提供しています。これが格安でサービスを提供できる理由です。
一方、大手回線事業者も、MVNOの業者にまとめて回線契約をしてもらえるため、多くの利用者を確保できるメリットがあります。
MVNOは大手通信事業者から回線を借りて、サービスを提供します。回線を小分けにして、通信速度やデータ通信量を制限することで、料金を下げることができています。
MVNOの注意点は?
上で説明した通り、MVNOのメリットは、より月額料金を抑えた通信契約ができることです。一方で、大手通信事業者との違いや注意点もあるので、あらかじめ確認しておきましょう。
- プランによっては通話ができない
MVNOのプランには、通話とデータ通信の両方ができるサービスだけでなく、データ通信のみのプランもあります。スマートフォンで通話したい場合には確認が必要です。
また、現在使用している電話番号を引き続き使用したい場合、「MNP」(番号ポータビリティ:電話番号を変更せずに回線を変更できる制度)に対応しているかどうか、確認が必要です。事業者によっては非対応の場合があります。 - 通話料金は時間に応じて増加する
大手通信事業者はいずれも、通話料定額のプランを提供中です(一部、旧プランを選択可能な事業者もあります)。それに対し、MVNOでは20円/30秒など、時間に応じて増加する料金設定になっています(2015年1月20日現在の情報)。 - データ通信の容量上限に注意
大手通信事業者、MVNOともに、データ通信の容量に上限を設定しています。これを超えると、通信速度が極端に低下してしまい、ファイルサイズが大きいメールの送受信や、動画サイトの視聴が難しくなります。
大手通信事業者の標準的なプランでは、容量が月あたり5GBや7GBに設定されていますが、MVNOでは月あたり1GBや1日あたり50MBなどの場合もあるので、あらかじめ確認が必要です。 - SIMフリーのスマートフォンを用意する必要がある
大手通信事業者の場合、スマートフォンの購入と回線の契約が同時に行えますが、MVNOでは自分で「SIMフリー(後述)」のスマートフォンを用意する必要があります(ただし、次のページで紹介するように、最近ではまとめて契約できるサービスも登場しています)。
このとき、利用したいMVNOのサービスと、スマートフォンが適合するかどうか確認する必要があります。
大手通信事業者 | MVNO | |
---|---|---|
料金 | 標準的なプランで月あたりの総額が6000~8000円 | 月額基本料1000~2000円程度から。通話を含む総額で3000~4000円 |
通話契約 | 通常は通話サービスの利用が可能。電話番号の引き継ぎが可能 | プランによっては通話サービスがない。電話番号の引き継ぎも事業者によって異なる |
通話料金 | 定額プランを選択可能 | 20円/30秒など |
データ通信 | 標準的なプランなら月あたり5GBや7GBなど | 月あたり1GBや1日あたり50MBなどから選択 |
スマートフォン端末 | 通信契約と同時に購入可能 | 基本的には、自分で用意する必要がある。通信契約と同時に購入可能なのは一部サービス |
SIMカードって何?
MVNOのサービスを利用する際には、事業者ごとに提供される「SIMカード」を使用します。SIMカードは指先に載るくらいのコンパクトなICカードです。
SIMカードには、個別に識別情報が登録されていて、利用者ごとの携帯電話番号が割り当てられます。携帯電話やスマートフォンにSIMカードを差し込むことで、通話や通信が可能になるのです。
SIMカードには、写真の標準サイズの他に、micro SIM、nano SIMの3サイズがあります。携帯電話やスマートフォンの挿入口に合わせる必要があるので、事前に確認が必要です。
SIMロックとSIMフリー
これまでの話を踏まえると、SIMカードを差し替えれば、異なる端末でも同じ携帯電話番号が使用可能、ということになります。しかし現在のところ、大手通信事業者が扱う端末のほとんどには、「SIMロック」というものがかけられていて、通信事業者や端末の種類が異なると、SIMカードを差し替えても使用できない状態になっています。
MVNOのサービスを利用するには、SIMロックがかけられていない「SIMフリー」の端末を使用する必要があります。ただし、大手通信事業者の回線を使っている方は、今後使用を検討するMVNOの回線でも元をたどれば同じ会社の回線、ということもあります。そのため、スマートフォンの機種によっては、SIMフリーでなくても、使用できる場合があります。
また総務省は、大手通信事業者によるSIMロックの解除を義務化する方針を発表しています。方針どおりに進むと、2015年のうちにはSIMロック解除が義務付けられて、スマートフォン端末の選択がより自由に行えるようになります。