【ご注意】
こちらの内容は2008年3月5日(水曜日)~2008年5月31日(土曜日)に開催された過去のコンテストになります。最新のコンテストについては、森村誠一監修 写真俳句サークル 「写真俳句コンテスト」をご覧ください。
3月6日より約4ヶ月間にわたり開催してまいりました「私の写真俳句コンテスト」もいよいよ、優秀作品の発表となります。
3月、4月、5月で沢山のご応募をいただきまして、誠にありがとうございました。この度、各月の入選作品より、森村誠一氏、山口亜希子氏、そしてAzbyClub事務局(富士通)にて「森村誠一賞」を1点、「金賞」「銀賞」「銅賞」の各1点を選出いたしました。
優秀作4作品を森村誠一氏による総評と各受賞作品の選評ともに発表いたします。
森村誠一氏総評
写真俳句にはなんの制約もルールもない。デジタルカメラ、あるいは携帯を手に、旅行、外出、散歩、あるいは屋内、どこででも、いつでも気軽に俳句を詠み、写真を添える。俳句と写真、どちらが前後でもかまわない。私の場合、俳句が先に出て写真を添えていたが、最近は、これは俳句になりそうだと予感が走った対象を先に撮り、後からじっくり俳句を練るケースが多くなっている。 写真俳句の理想としては、俳句と写真がそれぞれ独立した生命を持ち、ジョイントすることにより一種の化学変化を起こすような作品が望ましい。写俳相互に説明し合うのではなく、合体することによる窯変(ようへん)である。そして、両者切り離してもそれぞれ独立した作品価値を持つ。これが写真俳句の理想である。
栃木県) 孫茶さん
風の鯉桜の堰をジャンプして
全選考委員の意見を反映して、私が選び出した四作品の中から、さらに決選投票において二作を選び、最後に私が選出した。 「風の鯉桜の堰にジャンプして」 ( 孫茶さん ) 堰となった桜の上に鯉がジャンプし、新緑に染まった風の流れに泳いでいるように見える。満開のしだれ桜が滝のようにも見えて、鯉の滝登りならぬ花登りである。一句二季であるが、風の魚とすれば一季に納まる。そんな俳句の文法を圧倒する鯉と桜の取り合わせ、豊富な色彩。これを写真俳句に窯変した作者の感性を最も高く評価した。写真がなくても充分イメージを喚起し、句がなくても若い季節の生気弾み立つ写真となっている。 惜しくも選から洩れたが、 「筑波山雲の服着て暖をとり」 ( ライナスさん ) を私は高く評価している。この句の場合、写真は不要である。山を見る者には山容を妨げる雲を服として山が暖をとっているという発想は斬新である。一見地味で寒々としている写真が票を集められなかったが、句に添えられたとき、寂しい写真が俄然立ち上がる。だが、句は写真を必要としないほど独立している。 総体的に優れた写真が多い応募作品が集まった。写真俳句全体の傾向として、写真の比重が大きくなっていることを感じた。つまり、写真を門として、これまで入り難かった俳句に入る人が多いことを示している。日本固有の伝統文芸と最先端の機器のジョイントによる新たな表現は、今後ますますその人口を拡大するであろう。
(森村誠一)
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神奈川県) 八十日目
さん
お日様にラインダンスをご披露し
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静岡県) 鈴敏さん
新芽出し生きる力が天を突く
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大阪府) あんこさん
飛んでいる我には判る花粉たち
「金賞」 お日様にラインダンスをご披露し ( 八十日目さん )
ラインダンスの主人公が大根とは、写真を見るまでわからなかった。まさにダイナミックなラインダンスである。山口亜希子選考委員がこの写真から大根の大群が風に揺れる光景を想像したと言ったが、固定していた写真が風の中にダイナミックに動き出す場面を想像した。季語を写真に語らしめ、主人公の大根が圧倒的なマスゲームとなって迫ってくる。写真俳句の本領を遺憾なく発揮した作品である。
「銀賞」 新芽出し生きる力が天を突く ( 鈴敏さん )
写俳独立しても、いずれもパワフルな作品である。写真を見て雲にかかる新芽がいかにも天を突き、一直線に空を目指す樹高に、まだまだ伸びつづける生命力をおぼえる。
「銅賞」 飛んでいる我には判る花粉たち ( あんこさん )
あんこさんは、猫の表情が面白い。いかにも猫の目に花粉の微粒子が映じているようである。だが、写真がないと「我」がだれかわからないし、「飛んでいる我」とつづくと、鳥か昆虫が花粉を見ているような感じになる。写真俳句の強みを発揮した作品であるが、両者分離すると独立性が弱くなる。
(森村誠一)
- 優秀作品選考会の風景
写真と俳句や川柳などを組み合わせた写真俳句は新しい表現世界として、作家の森村誠一氏が自身のホームページで発表してから、手軽に始められる趣味として楽しむ方が増えています。
「私の写真俳句」コンテストでは、AzbyClub会員の皆様が作った作品を募集しております。
写真に俳句や川柳を添えてご応募いただきますと、毎月入選作品をホームページで発表いたします。
あなたのFMVとデジカメで写真俳句に挑戦してみませんか?
選考は作家の森村誠一氏と俳人の山口亜希子氏、そして富士通にて行わせていただきます。
ご応募いただいた作品の中から毎月の入選作品6点を発表、6月には全入選作品(18点)の中から4点の優秀作品を発表いたします。
コンテスト開催にあたり
ルールがないのが写真俳句のルールのようなもの。写真俳句は生活の縮図ですから無季語でも構いません。
写真に季語を語らせて
もけっこうです。句材をカメラで撮影し、後で俳句を作っても良いし、俳句が先にできて、それに合う写真を探してもいいんです。たくさんの人に写真俳句の楽しさを知ってもらいたいですね。(森村誠一)
- 森村誠一氏プロフィール
- 1933年生まれ。数多くのベストセラー作品を著す。近年、写真と俳句を組み合わせる「写真俳句」を提唱。
- 山口亜希子氏プロフィール
- 山口亜希子 俳句に軸足を据えた文芸編集を角川春樹・秋山巳之流に師事。2002年~06年、月刊「俳句界」編集長。
コンテスト開催期間
作品応募期間: | 2008年3月5日(水曜日)~2008年5月31日(土曜日) |
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5月31日をもちまして作品の募集は終了いたしました。 たくさんのご応募ありがとうございました。 |
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入選作発表: | 4月7日 (3月応募の入選作品) 5月12日 (4月応募の入選作品) 6月9日 (5月応募の入選作品) |
優秀作発表: | 6月25日(森村賞、金賞、銀賞、銅賞の計4作) |
賞品
入選: | 森村誠一氏サイン付き書籍(18名) |
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森村誠一賞: | エプソン ダイレクトフォトプリンタ 「カラリオ ミー E-720」(1名) |
金賞: | 液晶デジタル写真たて 10.4インチ DMF104W(1名) |
銀賞: | 液晶デジタル写真たて 8インチ DMF080WS(1名) |
銅賞: | 液晶デジタル写真たて 5.6インチ DMF056U(1名) |
※森村誠一賞、金・銀・銅賞は入選作品から選ばれます。
審査員
森村誠一、山口亜希子、AzbyClub事務局(富士通)
応募規約
詳しくは下記の応募規約をご覧ください。
- 日本国内在住のAzbyClub会員の方に限ります。国籍・年齢・性別は問いません。
- 写真1枚につき俳句、川柳などの五七五の一句をつけてください。テーマは自由です。
- 応募作は自作のもので未発表ものとすべて著作権を本人が有しているものに限ります。
- 人物が写っている作品について、撮影、応募、掲載許可は応募者が責任を持って取ってください。(被写体が人物の場合は、被写体ご本人の同意を得てください)
- 個人、団体などへの誹謗中傷、特定企業、個人等の売名行為に当たる作品は応募を取り消します。
- 公序良俗に反すると判断した作品に関しましては応募を取り消します。
- 万が一トラブルが起こっても、富士通では一切の責任を負わないものとします。
- ご応募いただいた作品の返却はいたしませんので予めご了承下さい。
- 応募作品の著作権は富士通に帰属するものとします。
- 応募は1日1作品までとし、上限3Mのファイルまでとします。(期間中何度でも応募できます)
- 応募作品は当社ホームページにて無償で使用する場合があります。その際、当社で必要と判断した修正・変更・加工を作品に施すことがありますので予めご了承ください。
- 応募作品、表彰作品につきましては2008年12月31日まで、AzbyClubホームページにて掲載されます。その際、当社で必要と判断した修正・変更・加工を作品に施すことがありますので予めご了承ください。 ※予告無く掲載時期が短縮されることがありますのでご了承願います。
※写真俳句は森村誠一氏の登録商標です